1.分かち合う社会、境目のない社会を目指す
日本は、少子化等で「①稼ぐ力」がどんどん落ちている一方、高齢化に伴って「②社会的なコスト」が増大している。また、「③人々の支え合う力」も弱体化している。新型コロナでこうした課題はますます深刻化し、少子化に一段と拍車もかかってしまっている。
①②③の課題を解決するための魔法の杖はないが、今後は、「分かち合う社会」「境目のない社会」がキーワードとなる。あらゆる主体の参加の仕方やモノ・サービスの提供方法で境界をなくし、フルセット主義から脱却することがとても重要で、柔軟な働き方等を実現する中で、低成長経済でも暮らしやすい「シェアリング社会」を作っていくべきである。
2.飲茶型人生のススメ
幸福な人生を送るためには、健康と経済的基盤を確保した上で、時間の充実を図ることが大切となる。
今後到来する「人生100年時代」には、「(A)働く」「(B)学ぶ」「(C)地域・コミュニティ活動」という3つの主な活動領域について、一人ひとりが自分の価値観にあったかたちでバランスをとっていくことが望ましい。
旧来型のサラリーマンの生き方をみると、働き盛りには、(A)働くことばかりしていて、(B)学ぶことや、(C)地域やコミュニティ活動に時間を振り向ける余裕が全然なく、定年後には(A)(B)(C)のいずれもなくて生活がスカスカになってしまうことが多い。
こうした昭和型の人生は、いわば「定食型の人生」であった。学び(前菜)を終えたら、そこそこ定まった職場で長年奉職し(主菜)、定年・余生(デザート)を迎えるというように、どの人生もある程度似た方向で物事が進むことがイメージされていた。
これに対し、これからは「飲茶型の人生」を目指すべきである。すなわち、勉学、仕事、子育てなどの「小皿料理」を、思い思いのタイミングで注文し、柔軟にその組合せを変えながら、彩り多い人生を自分好みに設計していく、というイメージである。
3.「スキ」「ブキ」「ツキ」「トキ」を大切に
そして、そうした飲茶型人生の中で、「スキ(好き)」(興味や価値観)を言語化し、それを活かしながら、「ブキ(武器)」(能力や持ち味)を伸ばしていくことが大切である。
若い人ほどそこは悩むだろうが、「スキ」も「ブキ」も長い人生の中で大きく成長・変化していくものであり、いま決め打つ必要は全くない。また、自然にいくつかの転機が訪れるものである。色々な「ツキ(運・縁)」(友人・知人や家族の助け)を頂きながら方向転換し、「トキ(時代)」の中で自分の最適解を探していくことを目指せばよい。
「トキ」は確かに選べない。しかし、今を生きる我々の責任で変えていくべきものでもある。我々一人ひとりが、境目をなくし、自分の役割を固定せずに、時代を変えるように働きかけていくことで、明るい未来を作っていけるはずである。
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